2010年12月17日
本澤二郎の「日本の風景」(621)
<日米安保改定50年> 日本の全土を揺るがした学生・労働者・市民の反対デモを押し切って強行された1960年の日米安保改定から、今年は50年である。もういい加減、アングロサクソンのアジア太平洋覇権戦略から解放されなければならないはずの日本である。それなのに不思議なほど静かである。安保破棄どころか深化させると、自民党右派政権顔負けの民主党政権の対応である。日本国内も隣国からもNOという声が聞こえてきていない。外国の軍事基地そのものの日本・沖縄だというのに、沈黙が列島を覆っている。
確かめたわけではないが、マスコミも沈黙している。当たり前のように続行してゆくと信じ込んでいるようなのだ。あえて言おう。愛国心云々とわめくのではない。自立しようとしない日本と日本人に、正直なところ辟易するばかりなのである。
もちろん、中曽根流の自主防衛・軍国主義化を求めているわけではない。それには断固反対である。それにしても平和・軍縮派、反戦・平和派はどこへ行ってしまったのか。右翼に呑み込まれてしまったものか。不思議な日本なのである。むろん、強力な仕掛けが存在している。アングロサクソンの罠が仕掛けられている。そう筆者の目にはくっきりと映る。
<朝鮮半島の緊張> 日米安保改定50年の2010年前半に、北朝鮮が仕組んだ魚雷が韓国の哨戒艦の真下で爆発、沈没するという事件が発生したという報道が、ワシントンとソウルで繰り返し公にされた。いかがわしい魚雷の破片に北朝鮮を示す文字がその証拠だとした。だが、この証拠は公正な第3者を十分納得させるものではなかった。
アメリカ在住の韓国人の科学者らが「問題証拠である」と決めつけた。有楽町の外国特派員協会の記者会見に筆者も立ち会ってみた。頷ける調査に驚いてしまった。兵器については素人だが、敵艦船の真下に到達したその瞬間爆発するという、手品のような魚雷を北朝鮮が保有しているだろうか。どう想像たくましくしても納得できるものではない。
また学者らが指摘しているように魚雷爆発後にも、確認出来るような文字が魚雷破片に残っているだろうか。高熱で消滅してしまうか見分けつかない状態になる。それがくっきりと残っている。不可解な証拠である。そうだとすると、ワシントンとソウルの宣伝する北犯人説は怪しい。筆者にはCIA説といいたくなるのである。
朝鮮半島に緊張を作り出す工作と見るべきではないか。その工作は見事に成功したことになる。そうして北朝鮮の目と鼻の先で、これ見よがしに軍事演習を強行した。挑発とは韓米側ではないか。
その後の北朝鮮の発砲事件は、まんまと韓米策略に引っ掛かったと見たい。冷静にみれば、一方的に北朝鮮を非難できまい。結果は、新たな緊張作りに成功したことになる。韓国政府はそそくさと軍事費の増額予算編成を公表した。韓国内の平和運動を抑え込んでしまった。
<尖閣問題> 尖閣諸島での中国漁船侵入事件なるものも、うさんくさいものである。6時間もの長時間、追いかけ回した揚句の拿捕と船長逮捕である。好戦派の前原の決断とその背景にワシントンの意思を見てとれる。日本単独で決断できる事案ではない。
中国の反発こそ東京とワシントンの狙いだったと分析すべきだろう。北朝鮮のみならず中国をも、ワシントンが仕掛けた罠に引っ掛けてしまった。両国民の対立感情をあおったものだ。民族主義化による対立作りなのだ。冷静な判断とはこういうものだろう。
漁船拿捕は、以前はソ連の専売特許だった。日本にとってはタブーだった。松下政経塾の傀儡政権のもとで表面化したものである。それ以前の日本政府の判断には、中国漁船を追跡して、追跡して拿捕するという選択肢はなかった。
東アジアにおける緊張作りの一環と捉えるのが正しい。
<日米大軍事演習と防衛大綱見直し> 極め付きが、現在行われている日米大軍事演習である。日本周辺のきな臭さを、意図的に無知な日本国民に対して新聞・テレビで印象付けているのである。
日米軍の大暴走である。
金のない日本である。孫たちに借金させている日本政府の判断が、こうなのだ。亡国そのものであることが理解できるだろう。
中国と北朝鮮に対抗する、仮想敵にした軍事演習に平和国民は、ただじっとしているだけというのも情けない。
<沈黙議会と政府と国民> 議会が大荒れして当然の事態であろう。だが、それもなさそうである。
民主党は自衛隊の南西方面への大移動を強行する防衛大綱に改めようとしている。それだけではない。財閥の意向に沿って武器輸出を可能にする一大政策変更を、これまた強行しようとしている。
この異常事態に野党・自民党から批判はない。同党右翼議員が期待している中身だからである。公明党や共産党からも強い批判は聞こえてきていない。国会を取り囲んでの怒りのデモもない。静かなのである。
自民党と右翼小党は、小沢排除による政界再編に的を絞ったままである。権力闘争に国会活動の大半を割いている。これまた亡国の様相を呈している。
<大連立と改憲軍拡路線> 昨日、右派メディアの代表を任じる読売新聞は、民主党は小沢を切り捨てて、自民党との大連立を、と訴えている。
狙いはいうまでもない。改憲軍拡を一気に推し進めようとの一大野望実現のためである。これこそが、東アジアの民衆に襲いかかる最大の政治的危機なのである。半島や大陸の学者の覚醒を希(こいねが)うものである。
ワシントンと財閥・官閥の野望でもある。政経塾の野心ともいえる。推進役は92歳の大勲位と「堕ちた言論人」の執念を見てとれる。
本来、1000兆円もの借金で首の回らない日本財政である。防衛費をゼロにして、役人と議員の定員と報酬を共に半減するような大事態である。ギリシャどころではない。一連の緊張政策は、こうしたまともな軍縮政策をもみつぶすだけではなく、危機を煽ることで平和憲法をも解体しようとしているのである。日米安保の深化のための"緊張狂騒曲"なのでもある。少しだけ頭を働かせればわかるだろう。
戦前の帝国主義に郷愁を抱く輩が未だに存在することに驚くばかりだが、こんな大それた国家改造を東アジアの民衆は黙認・容認するだろうか。その多くを騙せるだろうか。
<不思議の国の前途> 半島と日本周辺での緊張政策は、計画され、仕組まれて実施されているのである。こうした分析をしないマスコミどころか、緊張作りのお先棒を担いでいる。戦前の軍国主義を煽ったこととどこが違うだろうか。
無知と無関心で過ごしていいのであろうか。
昨日、東北新幹線が青森まで全線開通した。中国であれば1年足らずの工事期間を30年、40年もかけている。これが今の日本の実力なのである。東北新幹線の全線開通で、何か大きな経済的な変化が起きるだろうか。起きない。借金が膨らむだけである。わかりきっている。
不思議の国に変わりはない。
「油断大敵」とあえて東アジアの民衆に訴え、指摘しておこうか。
2010年12月5日8時55分記
2010年12月17日 08:45
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コメント(1)
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K.Ishikawa:2010年12月18日 01:55
米帝の陰謀説 説得力がありますね。有り難うございました。
J-Netの川瀬氏は共和国と仰るのですが、やや理解し難いです。 響きは親”北”的です。朝鮮総連の方々は共和国といいましね。
小生は北 と 南だけでも文脈でわかるのだと思います。韓国人はNorthと言い、自国のことをSouthという。
これは納得できます。