2009年6月 6日
コラム「風」雨の棚田:片山通夫
雨が降りしきる中、美作の国(岡山県)に向かった。美作といっても、現在の美作市ではない。美咲町。津山といったほうが理解が早いかもしれない。
ここを訪ねた理由は、日本一といわれる面積を持つ棚田を見るためである。棚田は日本各地にある。山ばかりの日本で主食である米を作るために、古来、山を切り開いて田圃を作った。棚田である。 眼下に広がる棚田には、水が入って苗を植えるばかりになっていた。一枚が狭い面積の田圃では機械は使えない。昔ながらの「お手植え」である。この田圃が秋になると黄金色の稲穂が実るのだと思うと、感慨もひとしお。柄にもなくそんなことを思いながらとった一枚の写真を紹介したい。 筆者の眼に、霧のように降る細い雨を通して、山肌にしがみついて開墾している人の姿が浮かぶ。おそらく、充分に食べるものもない生活の中で「米を作る」ことに執念を燃やした人々がいた。次の瞬間、現代の日本の飽食の状況が苦い思いとともに浮かんだ。 食料自給率が40%をきる現代。そんな状況の中で減反政策という愚策がまかり通っている日本。飽食は賞味期限という魔物に飲み込まれて、膨大としか言いようのない食料がごみと消えてゆく現代。 眼下に広がる棚田の風景はそんな日本をあざ笑うかのように「孤高の姿」を見せていたのがせめてもの慰めである。
2009年6月 6日 14:39
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