'."\n" ?> 片山通夫の「取材手帖」:本多立太郎さんのことなど・・。:片山通夫
片山通夫の「取材手帖」

2010年6月10日

本多立太郎さんのことなど・・。:片山通夫

hondaNanjinUnv.jpg前回に続いて、南京での本多さんの一枚の写真を紹介したい。場所は南京師範学校の教室。300人定員らしいが、600人以上の学生が詰めかけた。大盛況である。ここでも本多さんは「戦争出前噺」をされた。通訳を介しての出前噺なので、いささか様子が違ったようにも筆者には感じられた。通訳が翻訳し終わって初めて「反応があるから」だ。

本多さんは出前噺をどこででも、いつでも、聞き手が一人でも行われた。聞いた話だが、喫茶店で、一人の女子高校生を相手にされたこともあるとか。間近に聞き手の顔を見ながら話すのと、通訳を介しての噺では、勝手が違うはずだ。

この時南京で本多さんは、600人以上の学生を前に「いつもの通り淡々と」話されたことが、筆者の記憶に残っている。学生からの質問にも丁寧に応えられていた。学生たちの中には「元日本兵」が何を話すのか興味を持って聞き入る。本多さんはここでも「自分は無抵抗の中国人兵を殺した」事に言及した。この時学生たちは一瞬息をのんだ。

本多さんの真摯な言葉に彼ら学生たちは驚きそして感嘆したようだった。筆者にある学生は「元日本兵だと聞いていたので、ある意味憎しみを持っていた。けれども彼(本多さん)も戦争の被害者だったのだと私は感じた」と話した。

そのことが本多さんの意図する事とは違うように思えたが、筆者はその学生に訂正しなかった。本多さんの話は、「自分が経験したことだけ」を話しているだけなのだ。決して自分が加害者だとか被害者だという立場で話していたとは思えないからである。

「自分が経験した事実」を聞く人の前にそっと置く。それを聞いた人は、その問題を自分で考える。こんなスタイルで話し続ける本多さんはもう逝かれた。お年とはいえ残念である。

2010年6月10日 12:10

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コメント(1)

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  • みづから経験したことをはなす真摯な本多さんはりっぱです。
     ジャーナリストはひとからきいたはなしを書く。まさによい加減だ!

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